ほんわか

つらい日々を越えて、いま静かに暮らしています

32歳、それがDVだと気づかなかった|狭い流しで洗った夫の髪

2026-07-21
32歳、それがDVだと気づかなかった|狭い流しで洗った夫の髪

DVは、ある日突然始まるものだと思っていました。
でも振り返ると、私たちの場合は、もっと静かに、もっと小さなところから始まっていたのだと気づきます。


【目次】

  1. 夫が水疱瘡になった日
  2. シャワーも浴びない、頭も洗わない
  3. 狭い台所の流しで洗った、油まみれの髪
  4. 不潔な夫に、嫌になっていく私
  5. 気づけば、命令的な話し方になっていた
  6. 32歳、なぜDVだと思わなかったのか
  7. 32歳の自分に、今伝えたいこと

1. 夫が水疱瘡になった日

夫が水疱瘡になったことがあります。

全身に、気持ち悪いくらい水疱瘡ができました。
顔にも、体にも、頭にも。見ているだけでつらそうな状態でした。

私だったら、熱が下がったらすぐにシャワーを浴びて、頭も洗いたいと思うタイプです。
でも、夫はそういう人ではありませんでした。


2. シャワーも浴びない、頭も洗わない

熱が下がっても、夫はシャワーを浴びようとしませんでした。頭も洗いません。

もともと脂性の頭だったので、日に日にコテコテになっていきます。
見かねて「頭ぐらいシャワーしたら」と言いました。

でも、しない。

もう一度言いました。
「油が頭にべとべとで、水疱瘡が乾燥しないよ。シャワーした方がいいと思う」

すると夫は、こう言ったのです。
「洗ってくれ」


3. 狭い台所の流しで洗った、油まみれの髪

お風呂場ではなく、狭い台所の流しで、私が夫の髪を洗うことになりました。

シャンプー液を手に取って、夫の髪へ。
でも、まったく泡が出ません。

そもそも、私の手がサラダ油の中に入れたかのような感触で、気持ち悪かった。

何度もシャンプーを塗っては流し、塗っては流し。
ようやく油が取れてベタベタがなくなってきても、地肌を洗うところまではたどり着けませんでした。
それくらい、水疱瘡がびっしりできていたのです。


4. 不潔な夫に、嫌になっていく私

病気だから仕方ない。頭ではそうわかっていました。

でも、正直な気持ちを言えば、不潔な夫に、だんだん嫌気がさしていきました。

自分の体のことなのに、なぜ自分で気にかけないのだろう。
なぜ「洗ってくれ」と、私に頼るのだろう。

そんな気持ちが積み重なって、私の中で何かが少しずつ変わっていきました。


5. 気づけば、命令的な話し方になっていた

その頃から、私は夫に対して命令的な話し方をするようになっていました。

「〜して」「〜しなさい」
そうしなければ、この人は自分では動かない。そう思うようになっていたからです。

今振り返れば、これも一つの形の始まりだったのだと思います。
DVというと、暴力や暴言をイメージしますが、関係性のバランスが崩れていくことも、その入り口のひとつでした。

相手を対等な大人として信頼できなくなり、管理するような関わり方に変わっていく。
それは、私たち夫婦の間に、静かに、でも確実に広がっていったのです。


6. 32歳、なぜDVだと思わなかったのか

あの頃、私は32歳でした。

なぜ、これがDVだと思わなかったのか。
今考えると不思議です。でも、当時は思いもしませんでした。

子育てに忙しくて、生活費にも余裕がなくて、私には遊ぶ時間がありませんでした。
いいえ、正確に言うと——遊ぶということ自体を、忘れていたのだと思います。

友人と会う時間も、自分のことを話す時間もなく、毎日をこなすだけで精一杯でした。

もっと友人と会っていれば、と今は思います。
外の世界と接点があれば、「あれ、うちの夫婦、何かおかしいかも」と、もっと早く気づけたかもしれません。


7. 32歳の自分に、今伝えたいこと

もしあの頃の自分に、今の私が会えるなら、こう言いたいです。

早く気づいて。それ、DVだよ。

女性がすべて命令されるようなことは、ない。
夫婦は、対等でいい。むしろ、対等であるべきなんだよ。

髪を洗ってあげることや、看病することは、優しさです。
でもその優しさが、当たり前のように「妻の役目」として要求され、感謝も対等さもなくなっていくとき——それは、関係性の歪みのサインです。

もし今、忙しさの中で「私、最近誰とも話してないな」と感じている方がいたら、伝えたいです。
友人との時間、外の世界との接点は、決して贅沢なものではありません。
自分を客観的に見るための、大切な鏡なんです。

32歳の私は気づけなかったけれど、今のあなたには、気づいてほしい。
それだけを願っています。


🌷 あとがき

あの狭い流しでの洗髪から、もう何十年も経ちました。
今は、誰の髪を洗う必要もなく、自分のためだけに時間を使える毎日です。

あの頃の自分を責めるのではなく、「よく気づいてくれたね」と、今は思っています。

今は、自分の髪も肌も、自分のために丁寧に洗っています。

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